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小麦粉の価格改定について

4月、小麦粉の値上げを政府が行いました。
それを受けて製粉各社も値上げし、製麺業界も緊急事態です。
そんな中で、なか川にも中国新聞より一本の電話が入り、「小麦粉の値上げによる麺の価格への対応」を聞かれ、記事にもなったので「小麦粉の価格」をテーマに考えてみたいと思います。

まずは、なか川のコメント(私が答えたものです。)も記事になった6月8日、中国新聞より

<食品価格の高騰>
ガソリン高騰を受け、代替のバイオ燃料用のトウモロコシやサトウキビの需要増で、穀物の国際相場が上昇。オーストラリアの干ばつもあり、小麦粉は大手の日清フーズ(東京)が5月、24年ぶりに出荷価格を上げた。バイオディーゼル向け需要が高まる菜種やトウモロコシへの転作で作付面積が減少する大豆の原料高で食用油も値上がり。ブラジルなどではサトウキビへの転作でオレンジの作付面積が減少。3月のオレンジの輸入通関価格は3年前の2.3倍になった。

このように穀物の相場があがり、小麦粉も需要の多いオーストラリアの小麦粉の価格が上がったことで、小麦粉を主原料とする麺業界も大変な事態になっています。

中国新聞では、このことを「価格転嫁 悩める業者」という見出しで記事にしています。その中で、スーパーの対応としてフレスタ(広島県広島市中区)が、オレンジやグレープフルーツなど1リットルパック入り果汁100%ジュースを10~15%値上げしたことや丸久(山口県防府市)も一部の果汁飲料の価格を上げたこと。またハローズ(広島県福山市)は強力粉を7%値上げしたが、食用油は価格を据え置いていること。ユアーズ(広島県海田町)もマヨネーズの価格は据え置いていることが載っています。価格を据え置いている理由として「主力商品であるため値上げがしにくい」、「競合他社の動きを見ながら値上げを検討したい」となっています。

食用油の仕入れ価格は昨年より2割上がったそうですから、これで、スーパーが価格を据え置くとなると、かなりの負担を強いられそうです。また、マヨネーズも最大手のキューピーが10%程度値上げをしましたから、仕入先は価格の据え置きは容易でないと思います。

一方、食品メーカーの対応として、小麦粉の値上がりについての記事も載っています。
ここになか川のコメントも載っていますので、記事から抜粋してみます。

小麦の値上がりが響いているのはパンやめんのメーカー。アンデルセングループ(広島県中区)は、4月に小麦の仕入れ値が25キロ当り20円上昇したものの、パンの価格は据え置いている。「当面は持ちこたえたいが、一部商品の値上げは検討中」という。中川製麺(大竹市)でも2ヶ月前から小麦粉の仕入れ値が5%程度アップ。「ここ10年、小麦粉が上がった記憶はない。競争が厳しいため、値上げはしづらい」と話す。

一方、価格転嫁に踏み切る企業も出ている。廿日市市に工場があるカルビー(東京)は5月下旬、オーツ麦や玄米が原料の加工食品の内容量を平均5%減量し、実質値上げした。

福留ハム(広島県広島市西区)は昨年8~9月にハムやソーセージなど約300種類を5~6%アップ。穀物高騰で畜産飼料の価格が上がり、輸入豚肉の仕入れ値が5年前より約3割上がった。「商品開発に力を入れ、付加価値の高い商品の構成を増やして乗り切りたい」としている。

この様に食品メーカーの対応も様々です。
(記事中では「中川製麺」となっていますが、それは以前の名称で、現在正式には「なか川」です。)

~小麦粉価格の今後~
ここまで、小麦粉の価格が値上がり、小麦粉を主原料とする商品のことについてみてきましたが、では今後の小麦粉の価格はどのように変動していくのでしょうか。

輸入麦の売渡制度についてのページをみると・・・

これは農林水産省のホームページに載っているものですが、これによると「これまでの年間固定の売渡価格を定める標準売渡価格制度が廃止され、過去の一定期間における買入価格の平均値に、年間固定のマークアップを上乗せした価格で売り渡す価格変動制に移行する。」となっています。
当面は年2回(4月、10月)その後、年3回(4月、8月、12月)となるようです。

そして更に詳しくみていくと、「輸入麦の売渡制度について」の一番下に「詳細資料」が載っています。この5ページ「(参考1)小麦の国際相場の動向と近年の麦関係収支の推移」をみると、「最近の小麦の国際相場は、主要輸出国であるオーストラリアの干ばつの影響等により、約10年ぶりの高水準にある。」こと、また「近年の国内産麦の生産数量の拡大等に伴い、麦関係収支は大幅な赤字が継続しており、一般会計から多額の繰入れがなされている。」ということが載っています。

「小麦の国際相場(シカゴ相場)の推移」のグラフでは平成12年の安値を最後に年々、在庫率の減少と相まって、小麦の国際相場は上昇しており、10年前に迫る勢いです。

また、「国内産麦の生産振興に要する経費と外国産麦の売買差益の推移」の表をみると、内麦生産量が伸びると共に外麦輸入量に対する売買差益(②)よりも、内麦振興費(①)の膨らみは大きく、その結果、内外麦収支(②-①)は赤字が膨らんでいる傾向にあります。

ここで、内麦生産量と外麦輸入量について考えてみたいと思います。

同じ穀物で、日本人の主食でもある米が国内自給率ほぼ100%であるのに対して、なぜ、麦(小麦、大麦、はだか麦合計)の自給率は17%程度なのでしょうか?そして、どうして、内麦振興費はこんなにかかるのでしょうか?

小麦粉だけの自給率はもっと低かった(10%程度)と思いますので、なぜ「国内産小麦粉は需要が少ないか」ということを考えてみたいと思います。

~国内産小麦の現状~
国内産小麦の需要の少なさは、やはり外国産小麦に比べ品質、価格の面で劣っていることが大きく影響しているといえます。

“国内産小麦増量に向けての課題”というページにそのことが具体的に書かれています。その中でオーストラリア産小麦、ASWとの比較も書かれていますが、いかに外国産小麦に比べて国内産小麦が劣っているかわかると思います。

そして、国内産小麦の品質評価基準に関する現状と課題というページの詳細に国内産小麦のことが載っていますので、それを元にみてみると・・・

国内産小麦の生産量は年々増加しているのですが、これは、外国産麦との生産格差を背景に、国内産麦の市場価格(入札価格)が生産費を賄えない水準であるため、生産コストと入札価格との格差を埋め、国内産麦の再生産を確保するために助成金が支払われているためです。

このように、国内産小麦は、国の援助無しには生きていけないような非常に弱いものなのです。

そして、小麦の重要な要素である、たんぱくの分布状況、灰分の分布状況、フォーリングナンバー(でんぷんの粘り強さ)の分布をみても、実需者が望む基準値にオーストラリア産小麦、ASWは見事に合致しており、国内産小麦は遠く及ばないという現状があるのです。

~「香川県産さぬきの夢2000」~
このように国内産小麦は品質、価格とも海外小麦に遠く及ばないわけですが、その中にあって国内産小麦の世界でも讃岐うどんブランドは存在しているようです。「香川県産さぬきの夢2000」という銘柄は、品質評価は低いにもかかわらず、国内産小麦の中で入札価格は最も高くなっており、実需者ニーズが高くなっています。

これはやはり商品の背景を重視するあらわれで、讃岐うどんは香川県産の小麦でという実需者=消費者のニーズがあることも確かです。
しかし、現状はまだまだ讃岐うどんもASWなど海外小麦で作られている割合が高いと思われます。

~まとめ~
輸入小麦の価格改定により、今後も価格の値上げが予想されます。
そして、国内産小麦もいろいろと改良はされていますが、まだまだ発展途上です。

そして、値上げはガソリン、油脂製品にも及び、製麺業界としても、いたるところでコストがかかるようになってきたなぁという感じではあります。

今後は小麦粉も年3回の価格改定があるようですし、その度に値上げされたのでは、麺の価格も上げざるをえませんが、中国新聞のコメントにも載ったように、現状は価格据え置きで頑張りたいと思います。

小麦粉の価格は変動性になったのでそのうち下がること(当面は上がりそうですが)を期待しましょう。そして日本の小麦生産者の皆様にも期待しています。宜しくお願いします。

 
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