だったんそば
そばは普通そばとだったんそばに大別されますが、
一番大きく異なる点は、だったんそばの方が苦味成分の含有量がはるかに多いことが挙げられます。
普通そばにも苦味成分は含まれますが、だったんそばの苦味は強烈で、俗に「苦(にが)そば」とも呼ばれ、食用には適さないとされてきましたが、ルチンが大量に含まれていることがわかり、健康食品として注目されるようになりました。(ルチンの効果については「そばのルチン」のところに書いていますので参照してください。)だったんそばのルチン含有量は、普通そばの約100倍にもなるそうです。
ところで、だったんそばの苦味の元は、ルチンが分解されて出来るケルセチンという物質だと考えられています。普通そばにもだったんそばにも、ルチンを分解する酵素は含まれていますが、その酵素は加水する時に活性化するので、捏ねる時にルチンはケルセチンに変わります。
しかし、普通そばは酵素活性が緩やかなので、ルチンはほとんど分解されずに残ります。
よって苦味もほとんどありません。
一方、だったんそばは酵素活性が激しく起こり、ルチンの大部分はケルセチンに変わります。普通そばの100倍のルチンがある上、ルチンのほとんどが苦味の元であるケルセチンに変わるのだから、当然苦くなります。
では、ルチンがほとんどなくなるので、だったんそばが健康食品として注目されたのは間違いだったのでしょうか?そうではありません。だったんそばを加熱処理することにより、ルチン分解酵素をほとんど失活させることが出来、ルチンはそのまま残った苦味を抑えただったんそばが出来るのです。
また、だったんそばの特徴に黄色の色素が強いことも挙げられます。茹でると鮮やかな黄色になります。
<だったんそばの語源>
中国語で「韃靼」と書き、「韃」はムチ、「靼」はなめし革の意味で、騎馬民族を表し、これはモンゴル族のことで、そこから、モンゴル原産地説もあります。