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そばのつなぎ

~そば粉と小麦粉~
前回グルテンについて話しましたが、その中で「小麦粉からだけグルテンが採れ、他の穀物からは採れない」ということがありました。そのグルテンが結合剤の役目もし、つなぎとして働くので、うどんや中華そばは小麦粉を原料として作られるということでした。

では、そばの場合はどうでしょうか?
そばの場合はそば粉だけでは非常に麺を作るのは難しいと言えます。

そばの歴史自体は、稲作より古く、今から5000年ほど前の縄文時代中期には、すでに作られていたようですが「江戸の初期に朝鮮の僧元珍が南都東大寺に来て、つなぎに小麦粉を入れることを教え、初めてそば麺が出来た」という説もあり、江戸前期までは、そば粉だけで打っており、このようにそば粉だけで打ったそばを生蕎麦(きそば)といいますが、つなぎに小麦粉を入れることを知った江戸中期以降は、小麦粉を2割程度使ったそば(二八そば)が主流となったようです。こうして、つなぎを入れることでそばは一般的な食べ物になったようです。

~そば粉だけでそばを作る方法ー湯ねり~
では、そば粉だけでそばを作るにはどうすればいいのでしょう?そば粉だけで打つそばは生一本といいますが、あまりに純粋すぎて失敗しやすいという意から、「生一本では世渡りが出来ない」という言葉もあり、難しいことには変わりありませんが、湯ねりという方法があります。

湯ねりとは、そば粉全体の量のうち何割かを湯でねって粘りを出し、その粘りを使って、後は水でねるというやり方です。しかし、茹でてからのびやすいという欠点があります。また、湯ねりする時のお湯の温度も、でんぷんが60℃を越えたあたりでアルファ化することを考えれば、出来ればそれ以下の温度で行うほうが良いのではないかと思います。

~小麦粉以外のつなぎ~
つなぎには小麦粉の他に、山芋、卵などが一般的に使われていますが、よもぎ、山ごぼう、海藻などが使われる場合もあり、つなぎの種類によってその土地独特の「郷土そば」があります。

有名なところでは、新潟県の「へぎそば」があります。
へぎそばは新潟県中魚沼郡川西町の小島屋初代、小川重太郎氏が考案した「フノリ」をつなぎにしたそばです。ちなみに「へぎ」というのは薄板で作った長方形の箱のことで、これに盛ることから「へぎそば」というようになったようです。

ちなみになか川では、山の芋そばがあります。なか川でも普通は山芋や卵をつなぎとしてそばを作っているのですが、山の芋そばは、山の芋をつなぎとして使っているそばです。(「山芋」と「山の芋」は違います。JAつやま←参照)

~二八そばと機械製麺~
今まで述べてきたように、生そば(十割そば)を作ることはとても難しい訳ですが、江戸時代は「生そば」がひとつのブランドで、二八そばでも「生そば」と名乗っていた店も多かったようです。また、二八そばも語源をたどると、「そば粉2割、小麦粉8割」という説もなくはありませんし、そもそもの二八そばの語源は、そばの代価が16文で2×8=16で、それが二八そばの名称の始まりという説もあります。

このように、そば粉だけで作る、生そば(きそば)は価値は高いと思いますが、昔からなかなか作るのは難しいということで、湯ねりで作った場合は品質の劣化といった問題もあります。

さて、ここで機械でそばを作る場合を考えてみましょう。機械で作る場合は、そばを帯状にして長く圧延します。その製法上、途中で麺が切れることなく、小麦粉2割、そば粉8割の二八そばを作ることさえ非常に難しいものです。

小麦粉3割、そば粉7割でも、ぎりぎり麺状になるかなといったところです。つなぎやグルテンに相当するものを別に入れて作れば、そば粉の比率を高めることは出来ますが、別につなぎを入れない、そばと小麦粉だけで作ることは、二八そばでさえ大変なことです。

そう考えてみると、生蕎麦(十割そば)=純粋につくるのは非常に難しい→二八そば=小麦粉をつなぎとして2割入れてもまだ難しい→そこで、小麦粉以外にもつなぎとしての材料(山芋、卵など)を入れる・・・このようにして、現在のそばの形になってきたのではないかと思われます。

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