そうめんと冷麦の違い
~冷やし中華もいろいろ~
ラーメンのはなしの“冷やし中華と冷麺とつけ麺の違い”で、中華そばを冷やして食べる料理も、冷やし中華、冷麺、つけ麺など色々あり、その違いについて説明しました。
今回は、冷やしうどん系ということで、そうめんと冷麦の違いについて考えてみたいと思います。
~元々のそうめんと冷麦の違い~
そうめんについては、そうめんのところで説明していますが、少し角度を変えてもう一度考えてみたいと思います。
そうめんのところから、元々のそうめんの定義を抜粋すると、中国から伝わった当時は・・・
“そうめんの祖型の製法は、挽き臼で挽かれた粒子の細かい小麦粉だけで作る麺です。しかも麺に植物油を塗って伸ばす全く新しい製麺法です。これを索麺(そうめん)と呼びました。”
となり、麺に植物油を塗って伸ばすという製法がそうめんの特徴として挙げられます。
では、冷麦はどうでしょうか・・・
“時を同じくして小麦粉だけの、麺棒と案、包丁で作る切り麦も登場します。これは中国の切麺の製法です。これがうどん、ひやむぎになったと考えられます。”
ということで、麺棒と案、包丁で作る切り麦ということになります。
~現在のそうめんと冷麦の定義~
<機械製麺の場合>
歴史をたどると、そうめんと冷麦には、前述したような違いがある訳ですが、現在、市販されているそうめん、冷麦の定義はどのようになっているのでしょうか?
日本農林規格(JAS)では、乾麺を「機械麺」と「手延べ干しめん」の2つに分類しており、乾めん類とは「小麦粉、そば粉または小麦粉もしくはそば粉に大麦粉、米粉、卵などを加えたものに食塩、水等を加えて練り合わせた後、製めんし、乾燥したもの(手延べそうめん類を除く)」と定義されています。
その中で、干しうどん、ひやむぎ、そうめんの基準が設けられており
干しうどん
長径1.7mm以上3.8mm未満、短径1.0mm以上3.8mm未満
ひやむぎ
長径1.3mm以上1.7mm未満、短径1.0mm以上1.7mm未満
そうめん
長径、短径とも1.3mm未満
となっています。
このことから、日本農林規格の基準では、機械麺では、太さによる基準しかなく、概ね、太いものから、うどん、ひやむぎ、そうめんの順番ということが出来ますが、干しうどん、冷麦とも短径1.0mm以上となっていることから、厚さは、そうめんより薄いものも存在するということがいえます。
~手延べの場合~
では手延べの場合はどうなのでしょうか?以前あった、手延べそうめん類の定義は、日本農林規格の基準では、「小麦粉を原料とし、これに食塩、水等を加えて練り合わせた後、食用植物油を塗布してよりをかけながら順次引き延ばして丸棒状のめんとし、乾燥したものであって、製めんの工程において熟成が行われているもの」となっています。
そして以前は、
手延べうどん
直径1.7mm以上の丸棒状
手延べひやむぎ
直径1.3mm以上1.7mm未満の丸棒状
手延べそうめん
直径1.3mm未満の丸棒状
と分類されていたのですが、2004年に「手延べそうめん類」という項目は廃止され、「手延べ干しめん」となって、手延べうどんの基準は変わっていないのですが、直径1.7mm未満のものについては、「手延べひやむぎ」、「手延べそうめん」のどちらでも記載できるとされ、手延べめんに関しては、冷麦とそうめんの区別はなくなったといえます。
~そうめんと冷麦の違いのまとめ~
現在は機械製麺が多くなり、日本農林規格では冷麦とそうめんの区別はあいまいになってきました。
しかし、麺に植物油を塗って伸ばす、いわゆる手延べの製法で作られたものが、そうめん、手打ちの製法(薄く延ばして切る)ものが、冷麦、うどんという歴史的な分類は大切にしたいものだと思います。
そういう意味では、機械麺の製法で作られたものを、そうめんというのは感覚的にちょっとどうかな?と思います。
まぁ、簡単に区別するんだったら、太い順に、「うどん、冷麦、そうめん」でいいような気もしますけど。
こうやってみると、前回の冷やし中華と冷麺とつけ麺の違いに比べて、うどん系はスープに違いが無い分、麺の分類が細かいですね。